特別展示会の開催に寄せて

みなさまへ

 ホロコースト記念館は1995年6月、広島県福山市に開館しました。

地元の小学生や中学生の皆さんの大きな助けを受け、今日まで22年間歩んできました。すでに約16万人の人たちが、様々なところから訪れてくださいました。ユダヤ人であるというだけで、150万人の子供たちが殺されてしまいました。彼らの抱いていた「夢や希望、平和へのあこがれ」を日本の子供たちに伝えたいという思いで、今日まで歩んできました。


  1940年夏、リトアニアの日本領事館で、発行された日本通過ヴィザは、行き場を失い、死に直面していた6,000人のユダヤ人の命を救いました。

  2017年6月、ホロコースト記念館の特別展示室を、『「暗やみに光を灯した人」杉原千畝』の展示室にリニューアルしました。杉原が行った勇気ある行動は、次第に知られるようになりましたが、日本の多くの方々に杉原の行為を身近に知っていいただくために、特別展示室を広島県から全国へ発信することにしました。杉原の決断の陰にあった、エピソードや実際に助けられた人たちの証言や映像を交えて、より身近に杉原の偉業を知る機会としてくだされば幸いです。証言や映像、遺品類は主に、今日までホロコースト記念館が収集した資料に基づいています。

  ホロコーストの暗やみの中で、一人の日本人外交官が行った勇気ある行動を通じて、皆様により身近に杉原千畝の生きざまに触れ未来を開く一時としていただければ幸いです。

 

“過去を忘れず、未来を展望しよう。”(ホロコースト生還者の言葉)

     ホロコースト記念館館長 大塚 信